脇差し (無銘)長谷部國信
(はせべくにのぶ)


Wakizashi:HasebeKuninobu



古刀・山城
特別保存刀剣鑑定書
佐藤寒山先生鞘書き付き




刃長:31.8(一尺五分弱) 反り:0.4 元幅:2.89 元重ね:0.55 穴3



 平造り、身幅広く三ッ棟尋常。 鍛え、杢目に板目交る肌良く詰み地沸え微塵に付き地鉄精美。 刃文、表直刃基調に大きく乱れ沸え良く付き湯走り・飛び焼き掛かり、裏激しく沸え付き皆焼きとなる。 帽子、掃き掛け小丸に深く返る。 茎大磨り上げ、先切り、鑢切り。 銀に金鍍金ハバキ。 研磨充分。 白鞘入り。



【コメント】
 長谷部國信(無銘)の最高傑作平脇差し、抜群の出来、状態を示した南北朝期の同派を代表する名品で、且つ大変生ぶい逸品です。
南北朝期、相模國の廣光や秋廣と同様に覇気溢れる華やかな作風を見せるのが、
山城國の長谷部一派です。正宗十哲の一人である國重、弟の國信、國平、宗信などがいますが、やはり國重國信兄弟が同派の双璧を成す筆頭鍛冶であり、年期作に見る活躍期は、國重が文和四年(一三五五年)、延文三年(一三五八年)、國信が貞治二年、四年(一三六三、一三六五年)頃になります。共に名物を多数残しており、國重と言えば、國宝名物の『ヘシ切り長谷部』、二尺一寸四分、大磨り上げ無銘ですが、本阿弥光徳の金象嵌極めがあり、織田信長、豊臣秀吉、黒田筑前守長政と伝わっています。國信と言えば、重要文化財の平脇差し『熱田國信』で、熱田神宮所蔵、生ぶ在銘で一尺三寸四分、今一つは上杉景勝御手選三十五腰の一口で、重要美術品の名物『からかしわ』、こちらも生ぶ在銘で二尺六寸二分の太刀です。その他にも多数の名物が多く残されていることは、兄弟の技量がずば抜けていたことを裏付けるものです。
本作は弟長谷部國信(無銘)の作、二寸程磨り上がっていますが、上の出来は抜群、表裏で焼き刃の雰囲気が異なるのですが、湾れ調に互の目乱れを焼き、特に中程は焼き刃高く烈しく乱れおり、変化が複雑過ぎるため、地刃の境は判然としません。刃中頻りに砂流し掛かり、地のおびただしい湯走り、飛び焼き、帽子も返り深く、烈しい柾流れの棟焼きとなり、これらが平地中央で皆焼状を呈しています。地景を織り交ぜた板目肌がうねり、棟寄りに柾流れがザングリと肌立つのも同派の特徴です。とにかく地刃は見所満載です。
本作には古鞘が付属しており、その鞘書きによると、『天保七年(一八三六年)、斉順公が北山にて行ったシシ狩りで、仕留め損ねた手負いの猪が、猪突猛進向かって来た際、本刀を所持していた御付きの者が、瞬く間に両足を切り落とし、頭も切り倒した。先祖代々伝わる一振りで、古来より郷義弘として伝わり、後々本阿弥成重に鑑定を依頼した所、郷義弘に相違なしとの極めを授かる。』ざっと以上のような逸話が長々と綴ってあります。斉順公とは徳川斉順(なりゆき)のことで、徳川家十一代将軍家斉の七男に当たります。徳川御三卿の一つ、清水徳川家三代当主を経て、文政七年(一八二四年)、紀州徳川家十一代藩主となった人物です。弘化三年(一八四六年)、四十六歳にて没。本阿弥成重は本阿弥長識と共に、当時最も影響力のある鑑定家で、金肌拭い法を発案した研ぎの名人、その教えは本阿弥琳雅、本阿弥日州へと受け継がれています。
本作の出来はどちらかと言えば、國重に近いと思います。しかし國重には一尺前後の作が多いのに対し、國信には前述した『熱田國信』のように一尺三寸を超える大振りな作が見られることから、寒山先生も國信の極めを当てたのだと思われます。どちらにしろ地刃の健全さ、烈しい出来、完璧です。こんな名品が無鑑の状態で出てくるとは大変ラッキーです。今年特別保存を取得したばかり、最上研磨の研ぎ上がりです。今後も何かと楽しみが多そうです。同工並びに同派の代表作であると明言致します。絶対にお薦めです。












【売約済】 商品番号:V-1530 脇差し 無銘(長谷部國信) 特別保存刀剣鑑定書

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