刀 銘:備州住長船五郎左衛門尉清光作
(びしゅうじゅうおさふねごろうざえもんのじょうきよみつさく)
天文八年八月吉日(一五三九年)
Katana:Bisyuosafune Gorozaemonnojo Kiyomitsu saku
古刀・備前 室町後期
特別保存刀剣鑑定書
探山先生鞘書き付き
刃長:68.2(二尺二寸五分) 反り:2.5 元幅:3.17
先幅:2.08 元重ね:0.91 先重ね:0.47 穴1
【コメント】
五郎左衛門尉清光による、地刃健全でガシッとした戦国期備前刀の典型作、これが長船清光の最高峰です。
室町後期の長船鍛冶にあって、清光を名乗る者は多数いますが、その中でも五郎左衛門尉、子の孫右衛門尉清光の技術が秀抜しています。また直刃出来を真骨頂としており、直刃に数々の名品が存在します。また清光一門は、祐定、勝光、忠光一門などと同じく、戦国期、凄まじい覇権争いを繰り広げた備前、備中、美作、播磨の武将達の需要に応え鍛刀、中でも山名氏、浦上氏、宇喜田氏、毛利氏に専属しました。
本工の五郎左衛門尉清光は、享禄(一五二八~三二年)から永禄(一五五八~七〇年)初期頃に掛けて活躍、特に天文年紀作に名作が多いため、世上『天文清光』と呼ばれ、賞賛されます。本作も正に天文八年紀、五郎左衛門尉にとって油の乗りきった最高の時期です。身幅カチッとして、重ね厚く、先反りの深い、室町後期特有の打刀スタイルです。地沸え微塵に付いた板目肌、刃寄りに柾が流れ、備前映りが鮮明に立った見事な鍛え、中直刃基調で刃縁にほつれ、小乱れ、喰い違い刃、砂流し掛かり、棟にも焼きが入り、地刃共に明るく冴える、上々の出来映えを示しています。幅広で深い樋をハバキ上で角留めするのも清光一派の特徴です。
生ぶ茎、生ぶ穴一つ、五郎左衛門尉と個銘の入った刀で、これぐらい出来た作など早々出て来ません。これが天文清光です、絶対に押さえて下さい。